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2010年8月3日火曜日

【review】 Unix/Linux プログラミング 理論と実践



Unix/Linuxのシステムプログラミングに自信がなければ買うべし。
価格は6000円を超える。
高いと思うかもしれない。
しかし読めば分かる。
読了後こう思うだろう。たったの6000円だったと。
それだけの価値がある。





第1章 Unixシステムプログラミングの全体像
第2章 ユーザー、ファイル、マニュアル─最初はwhoから
第3章 ディレクトリとファイルのプロパティ─lsを徹底的に調べる
第4章 ファイルシステムを探究する─pwdを書く
第5章 接続をコントロールする─sttyを研究する
第6章 人間相手のプログラミング─端末制御とシグナル
第7章 イベント駆動プログラミング─ビデオゲームを書く
第8章 プロセスとプログラム─shを研究する
第9章 プログラムできるシェル─シェル変数と環境
第10章 入出力のリダイレクトとパイプ
第11章 近くと遠くのプロセスへの接続─サーバとソケット
第12章 接続とプロトコル─Webサーバを書く
第13章 データグラムのプログラミング─ライセンスサーバ
第14章 スレッド─関数の並行実行
第15章 プロセス間通信のまとめ─talkしよう



チラッと中身をめくると読むのが億劫に感じるかもしれないが、扱っているのは良質で簡易なコードである。
システムは大規模、複雑化しているが、基本構造は不思議なぐらい変わっていない。

具体的に例を出そう。
自分でシェル(shell)を作ってみたくないかい。
そもそもシェルってなんだ。
そう思ったら迷わず手にすべきである。

2010年7月15日木曜日

【review】 理性の限界―不可能性・不確定性・不完全性


ステレオタイプな○○主義者がいっせいに集う。
いかにも、という紋切り型の性格の彼らが持論を展開する。
小気味のいいテンポで展開されるディベートに読者も意識せず参加し、
賛成と反対を意見する中で理性の限界に気がつくだろう。



序章 理性の限界とは何か

第一章 選択の限界
1 投票のパラドックス
2 アロウの不可能性定理
3 囚人のジレンマ
4 合理的選択の限界と可能性

第二章 科学の限界
1 科学とは何か
2 ハイゼンベルクの不確定性原理
3 EPRパラドックス
4 科学的認識の限界と可能性

第三章 知識の限界
1 ぬきうちテストのパラドックス
2 ゲーデルの不完全性定理
3 認知論理システム
4 論理的思考の限界と可能性


参加者と彼らの主義の一例を示そう。
◆ 文化相対主義者
時間感覚も、空間感覚も文化圏によって異なるのだ。

◆ 言語相対主義者
普遍的な言語で世界を語ることは不可能だ。
指示の不可測性、翻訳の不確定性について説明しようではないか。

◆ 論理実証主義者
すべての哲学問題は言語から生じる擬似問題だ。
実証可能である有意味性を判定すべきである。

◆ 論理学者
ゲーデルの不完全性定理から普遍言語は存在しないことになる。
論理学から全数学を導出できない。

◆ 帰納主義者
絶対確率で断定はできなくとも、合致例が多く観察されれば、
法則の確証度が増加する確証原理があるだろう。

◆ 反証主義者
理論は経験的に実証され得ない。帰納主義を批判する。
推測と反駁による連鎖で科学は進歩する。
科学であるためには反証可能でなければならない。

◆ 方法論的虚無主義者
受容も批判も議論も結構.
科学の進歩は論理実証主義や帰納主義、検証主義、反証主義のような
協議の規則だけで捉えきれるものではない。
正しさ、真理、存在の意味などを証明する方法は存在しないのだ。

◆ 形而上学者
自然現象を探求する自然学に対し、自然現象の本質そのものを探求する。
形あるものを探求する形而下学(physis)に対し、形ないものを探求する。
これが形而上学(metaphysics)だ。
物質としての脳ではなく「心」の問題を、自然現象としての宇宙ではなく「存在」の意味を考よう。


まだまだ登場人物はいる。
◆ 論理学者 なら因果関係や遡及因果についての話もしてくれるだろう。

他にも・・・
◆ 科学社会学者
◆ 科学主義者
◆ 国際政治学者
◆ 動物行動学者
◆ ロマン主義者
◆ 実験物理学者
◆ 日本文化論者
◆ 急進的フェミニスト
◆ 心理学者
◆ 科学主義者
◆ 哲学史家
◆ 精神分析学者
◆ カント主義者
◆ 複雑系物理学者
◆ 地震学者

もう書ききれない。

理性の限界は高い壁なのか、深い穴なのか、ぜひ味わってほしい。